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「私なんて生きている価値もない人間だ」・・・女性との対話

2024.10.22

 新潟にしては珍しく晴れて、冬の陽射しが柔らかく感じられる昼下がりでした。「あ~。繋がって良かった。繋がらなかったら又お酒を飲んでしまうところだった」の第一声でした。40代と思われる女性からの電話でした。

 高校生の頃、心の病を発症し、以来30年余病気と闘って来た。でも、もうくたびれ果ててしまった。今までの人生で、ただ一度も楽しかった事なんてなかった。結婚して娘にも恵まれたが、離婚してしまった。私なんて生きている価値もない人間だ。私は生きていても何の役にも立たない。私が生きていれば周りの人達に迷惑を掛けてしまうだけだ。私なんて死んだ方がいいのだ。私の事なんて誰も分かってくれない。夫も分かってくれなかった。医者も分かってくれていない。私の病気はもう治らないのではないか。これから先どう生きて行けばいいのか。娘は思春期で反抗期だ。今の生活を支えてくれている母はもう高齢である。不安で、苦しくて、辛くて、寂しくて、ついついお酒に手が伸びてしまう。でも、今日は電話が繋がって話が出来たので、お酒は飲まないでいられるかもしれない。

 少し投げやりな抑揚の無い話し方で語られた心の内。返す言葉も思い付かず、ただひたすら話を聴き続けました。

 しばらくの沈黙の後、「でも、私が死ぬと娘は悲しみますよね。母が泣きますよね。二人に迷惑が掛かりますよね。やっぱり私、生きたいです。生きたいと思います」少し力の込もった声で電話は終わりました。


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